自然だし専門メーカー
株式会社緑川商店
成田市にある古民家オーガニックレストラン風楽はレストランとしての営業日がとても少なくて、食や健康に関する講座や料理教室、映画会、スペースレンタルなどをやっている不思議な?お店です。店主のエイコさんは本が大好きで、その昔は家庭文庫もやっていたことがあり、風楽の図書室には今でもたくさんの絵本が並んでいます。その中から食べ物に関する絵本を選んで、毎月、紹介していただくことになりました。タイトルは「心で食べる絵本歳時記」。風楽のキッチンからはいつも美味しいご飯の匂いがしてきますが、心にも美味しい絵本をいっぱい食べさせてくださいね。
はなちゃんは日本一早起きの小学生。
毎朝5時に起きて、真っ先に台所に向かいます。
そしてパパと一緒に朝ごはんを作ります。
前の日から水につけた昆布の入った鍋を火にかけ、ゴリッゴリッ、シュッシュ・・・とかつお節を削ってお出しをとります・・・。
はなちゃんのママはガンの闘病中にはなちゃんを産みました。
そして33歳の若さで亡くなりました。
はなちゃんが5歳の時でした。
亡くなる一年前から、はなちゃんが一人でも生きていけるようにと、ママは洗濯物の干し方やおみそ汁の作り方を教え始めました。
パパはママが亡くなってから落ち込んで泣いてばかり。
そんなパパを喜ばせようと、はなちゃんはおみそ汁を作り始めます。
おみそ汁作りで一番嬉しいことは?と聞いたら「パパがが笑ってくれるから」と答えたはなちゃん。
パパははなちゃんに励まされ、前を向いて歩き始めました。
はなちゃんはママとの約束を守って毎日おみそ汁をを作り続けました。
パパとの二人三脚で、大きくなったはなちゃん。
その後ろにはいつも優しく見守っているママがいます。
そんなパパとはなちゃん、そしてママとの日々が本になり、2012年「はなちゃんのみそ汁」として出版され、その後、ドラマや映画にもなって感動が全国に広がっていきました。
これははなちゃんの毎日が書かれている同じ名前の絵本です。
表紙は、ママが撮ったおみそ汁を飲んでいるはなちゃんの写真が絵になっています。
食卓に朝ごはんを運んで「いただきます」をする時、
ママの写真に向かって「ママ、パパとはなはもう大丈夫だよ!」ってはなちゃんは話しかけてきました。
おみそ汁作りを通してパパとはなちゃんは大きな絆で結ばれていきました。
反抗期もあって、しばらくおみそ汁を作らなかった時期もあったけれど、今でははなちゃんも大学生。
パパと一緒にお出汁の教室をやったり、ブログを書いたり、栄養学を学ぶために大学に入って、来春には卒業して社会人になるそうです。
おみそ汁を通して成長していったはなちゃん。
ママが残してくれたのは単なるおみそ汁のレシピではなく命のレシピなのですね。
家族をつないでくれたおみそ汁。
温かい食卓にはいつも愛がいっぱい❤️
ママははなちゃんが一人でも生きていくための力をつけてほしいと心から願っていたので、はなちゃんとパパの姿を天国からみて、きっと喜んでくれていることと思います。
とてもあたたかな気持ちになる絵本です。
そして子どもでもこうやってちゃんとおだしをとって、おみそ汁を作れるんですね。
自分の食べるものを自分の手で作る・・・作れるものが増えていけばいくほど、生きていく自信が大きくなるのかもしれません。
お家でもお子さんと一緒にかつお節を削って、ぜひ美味しいおみそ汁を作ってみてくださいね。
(絵本「はなちゃんのみそ汁」 講談社)